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須山鉄工所
株式会社 須山鉄工 代表取締役社長 / ブログ名 鉄の蝸牛/ 福岡県うきは市で各種金属加工・溶接加工の受託製造を行いつつ、建設現場での据え付け工事にも対応。特にアルミ溶接を強味にしており法人化してから30年を迎える。 女性の溶接士も活躍しており色々な角度から溶接業界に新風を吹き込もうとしている。
須山氏は実は家業を継いだ三代目。二代目までは個人事業主だった須山鉄工を法人化させた。 中学生の頃には自宅兼工場という環境で育ち、「鉄工所が常に間近にあったので自然にこの道に入った単純な三代目です」と笑いながら話す。 通訳になって世界中を飛び回りたいと想っていた時期もあったそうだが、今ではこの仕事は心底天職だったと思えているという。 でも、きっとその時の世界中を飛び回りたいというような夢を抱く須山氏のピュアな心が現在の須山鉄工としての仕事にも同じように繋がっているのだろうと感じた。
須山鉄工は造園や果樹園用などの道具制作を中心に、アルミ溶接が強いと自負している。 ゆえに商品の発送先は、北は北海道から南は石垣島に及び、強味を武器に全国から多くの相談や問い合わせを受け、アルミ溶接の頼れる存在として多くの支持を得ている。 最近ではネットを介して須山鉄工に辿り着いた奈良県のお客様から門扉の制作の相談・依頼を受けているとのことで、東は山口、南は熊本辺りまでが中心だった現場仕事の範囲も今後さらに広がるかもしれないとワクワクとした笑顔を浮かべる。 須山鉄工の仕事の話に触れていると企業の規模や所在地ではなく、“うちはこれ! という強味があることが大切なのだと痛感した。 ちなみに須山鉄工では入社したら先ず一番にアルミ溶接を覚えてもらうことにしているとのこと。
溶接面を迷彩にカスタマイズ
そんなアルミ溶接を極めている須山鉄工だが、「ウチはここだけと絞らずに幅広いジャンルにチャレンジするようにしている」と須山氏は何度も口にした。 強みがありながらも企業や職人としての対応力を高め、仕事の幅や深さを広げる姿勢。 5㎏で7万円もする鋳鉄用の溶接棒を仕入れ、難しくて数値化出来ず経験と勘に頼るのみの鋳物溶接の仕事もあえて受けて楽しんでいるという。 そんな須山氏に将来、溶接を生業にしようとしている若者に向けてのひと言を問い掛けてみたところ、「溶接や鉄工という仕事は技術職の中でもめちゃくちゃ幅が広いし奥が深い。そして色んなことにチャレンジ出来るやりがいのある仕事」と語った。 であるが故に「大きく叩けば大きく響くが小さく叩いても面白い仕事が沢山ある」と言い、その言葉から小さく叩く仕事も軽視しない、仕事を大小で測らない、という須山氏の人柄と仕事に向き合う上での大切な価値観を感じた。 「大きさに関わらずトントントントンと軽快にハンマーで叩くも良し、ドンドンドンドンと力強く太鼓やドラムを叩くも良し、要は叩き続けることが一番大事じゃないかな」という言葉がとても印象的だった。
須山鉄工では女性の溶接職人も活躍している
開口一番に出た夢は「沖縄支店を作りたい!!」というものだった。 大の沖縄好きとのことでビーチの近くの塩害で錆びる工場で仕事をするのが夢だと。(笑) その後に付け加えた「夢を見る、描くことは誰にも迷惑は掛けないから」という言葉に須山氏は今も青春時代の中を生きて仕事をされているのだと感じた。 そして目標は「若い世代に技術を継承すること、しかも自分の親族とかの意味ではなく」と言い切った。 仕事を通じて日本全体で技術職が足りていない、絶対数が少なくなっていることを肌身で感じながら強い危惧を抱きつつ「自身も人手が足りずに断らざるを得ない仕事もある」とその実状を語る姿が寂しそうだった。 「時間をかければ良い物を作れる訳ではない、だが良い物を作るにはそれなりの時間が必要だ」これは、たまたま知った家具職人さんの言葉とのことで「効率化や時短が求められる時勢の中で、一工夫や一手間、仕上げの丁寧さで絶対に違って来る!!」と熱く語ってくれた。
ある年のクリスマスにお孫さんに作ってあげたら大喜びしてくれたというトナカイ。 モノづくりの捉え方が変わるキッカケとなった出来事だったという。
「ひとつの事はすべてに通じ すべての事はひとつに通じる」