溶接レシピ
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鍛冶工房studio ZWEI(スタジオ・ツヴァイ)
古くからヨーロッパに伝わる鍛鉄(たんてつ)を中心とした金属デザインを制作。 本場ドイツで学んだ本物の匠の技で圧倒的な存在感を放ち、観る人を魅了しつづけている。
2021年個展出品作品「火造鍛造屏風」
宇田氏は大学で金属加工を学び、卒業後 鍛冶屋の道に進むことを決め、単身ドイツに渡る。 ドイツでは鍛冶屋の工房に弟子入りし、親方から長年受け継がれてきた鍛冶の伝統や技術を徹底的に学んだ。 当時は海外に修行に行くなんてクレイジーな人しかいなかった・・・と笑う宇田氏。 ただ鍛冶屋の仕事をやりたい!知りたい! その一心だったという。 そんな鍛冶仕事に大切なことは?の問いに宇田氏は、基礎からの下積み、よい親方との出会い、それと常に自分に満足せず突き進むこと、だとハッキリと言った。 覚悟をもって単身ドイツに渡った宇田氏の言葉からは、その下積み時代に培われたバックボーンの上にある確かな技術やプロとしての自信が溢れていた。
その後、鍛冶屋の道に進んだ宇田氏だがその理由の一つとして、自分でデザインしたものをデザインだけでなく作るところまでやりたいと思ったからだという。 もちろん、デザイン・制作・施工まで一貫して行う難しさはあるが、それを乗り越えたときに得られる達成感や経験値がこの仕事の魅力であり、やりがいでもあるという。 そして、“職業病だよね・・・”と笑いながらも、普段から常に仕事のことを考え、“本当にこれでいいのか?” “これで本当にかっこいいのか?”と疑問をもって問いかけているという。 現状に満足せず常に問いかける姿勢は、ドイツでの下積み時代から今も変わらないという。
いわゆる「鍛造=槌目」のイメージで、槌目はついているものでそれがワイルドでかっこいいと思われがちだが本来、槌目は加工工程でできるものであって必ずしも必要ではないと宇田氏は言う。 逆に、必要ではないのに槌目をつけることにわざとらしさを感じる時があるという。 宇田氏の作品では槌目はつける時もあればつけない時もある。 槌目がデザイン・意匠的に邪魔になるときはあえて槌目をサンディングすることもある。 槌目をつけないということは、より形状の美しさや精度が求められ一切ごまかしが利かないという。 確かな技術がなければ出来ない技なのだ。 世の中の鍛冶屋のイメージに捉われず槌目をつけない宇田氏も、また槌目がついていない宇田氏の作品も、「シンプル&モダン」で理屈抜きにかっこいい。
凛とした「三鉾燭台」
宇田氏の作品において溶接は適材適所で使われている。 ただ、鍛冶屋の世界観を出すにはやはり裏方の細工として使うことが多いという。 鍛冶屋の仕事が生きる使い方をするので溶接個所はあまり見せてはいないが、溶接はなくてはならない重要な接合方法のひとつであるという。
現在は茨城県日立市に工房を構え制作活動を行っている宇田氏。 今後について聞いたところ、「現状と変わらず頑張るのみだが、“宇田にしか出来ない”と言われるような仕事で勝負したい。」と言った。 その為にもビジネスとは別に展覧会のような、普段できないことややってみたいことを試す場所は絶対に必要だという。 今後も定期的にそういった場をもち自分表現を鼓舞することで、クライアントはもちろん、自分自身をも飽きさせない仕事をし続けていきたいという。 またそれと同時に、人によって継承され続けてきたこの伝統的技法を終わらせないためにも、若手の育成などを行い先代から培った鍛冶屋の技術や知識を継承していきたいと語った。 「鍛冶屋の仕事が好きだから・・・」今回、話を聞いている中で何度となくその言葉を聞いた。 自然と出てくるその言葉に、好きだから大切にしていきたいという思いが伝わってきた。 こんな言い方、おかしいかも知れないが今回、宇田氏と話していて、“こんなに鍛冶屋が似合う鍛冶屋はいない・・・”と感じた。 そして、こんな骨太な鍛冶屋が日本にいることを誇りに思い、この先の宇田氏の活躍が楽しみになった。
2021年個展
2020年個展
2017年個展